我が家のすべらない話【すべて実話】

身の回りで起こった面白い話を毎日12時30分に更新していましたが、ネタが尽きてきたので2023年7月23日より更新頻度を減らします。

1990年代に録り鉄の少年に驚愕する(024)

これは大学のころの話。

私は通学するのに近鉄電車を使っていた。
大学時代は、朝のラッシュに巻き込まれることもあまりなく、
(そんな早い時間に学校行くのは試験のときだけである)
昼間の空いた時間に座って通学していた。

 

ある日、沿線の養護学校に通っているらしき少年が電車に一人で乗ってきた。
野球帽にリュックを背負って満面の笑みを浮かべている。
彼は、座らずドアの前に立っていた。

 

電車は走り出し、彼は何かぶつぶつ言っている。

「つぎは~丹波橋丹波橋です」
車掌の真似をしているようだ。

と、ここまではよくある話で、次の駅に着く前に乗客は度肝を抜かれることとなる。

 

「まもなく、丹波橋丹波橋京阪線はお乗換えです」

彼はそう言うと同時に何かのボタンを押した。

「左側の扉が開きます。ご注意下さい」

と女性の声でアナウンスが流れるではないか。

なんと彼は、ラジカセを持って通学していて、車内のアナウンスを録音しており、要所、要所でボタンを押して再生しているのだ。

乗客の目が点になっているが、彼は全く気にしていない。

 

駅について電車を降りる時、男子高校生の2人組が
「はいはい、ありがと、ありがとね」

とボソッと言って去っていったのが、可笑しかった。

 

今から30年も前、鉄ヲタとか録り鉄とかいう言葉も無かった時代の話であった。