小学校の頃(昭和50年代後半)の話である。
夜は小学校低学年の弟と一緒に寝ていた。
寝ている弟を見ていると寝ながらもあくびをしていた。
大きな口を開けている。
ある日ふとこのあくびをして口が閉まるときのかむ力とは、いったいどれくらいの力なのかという疑問が浮かんだ。
イメージ的には軽くかむ程度だろうと思っていた。
そんなことを考えつつ、ある日、猛烈に試してみたくなり、寝ている弟の横で、機会をうかがっていた。
その時、弟があくびをした。
「それっ!今だ!!」
私は弟の口の中に人差し指を軽く突っ込んでみた。
口が閉まる。
「ガブッ」
「!!痛っ!!」
私は叫んだ。ものすごく痛い。とにかく痛かった。
かまれた瞬間、弟は一瞬目を開け、もう一度口を開き、かんだ私の指を離してくれた。弟は何事も無かったかのようにそのまま寝てしまった。
あの痛さは、おそらくキュウリなんかは余裕で噛み切れるであろう。
今、親になって、娘たちが寝ながらあくびをしているのを見るにつけ、かませてみたい衝動に駆られる時があるが、痛かったらしゃれにならないので、やめている。
あくびして口を閉じるだけでも、結構すごい力があるので、気をつけたほうが良い。