我が家のすべらない話【すべて実話】

身の回りで起こった面白い話を毎日12時30分に更新していましたが、ネタが尽きてきたので2023年7月23日より更新頻度を減らします。

大学受験とバレンタインデーと勘違い野郎(039)

高校3年の時の話。

同じクラスに正太郎という男がいた。
勉強は普通にできるのだが、かなりの勘違い野郎であった。
正太郎は自分には親友がたくさんいると豪語するのだが、相手は親友などと思ってはいない。
私もその勘違い親友の一人とされていた。

 

正太郎には好きな女の子がいて、同じクラスの岡本ゆみこさんであることは、だいたいの奴が知っていた。
まぁまぁ普通の容姿の岡本さんであったが、正太郎に好きになられるとは迷惑な話である。


この話はクラスで悪さをする大原の耳にも入っていた。

バレンタインデーの日の夜、私の家に正太郎から電話がかかってきた。
電話の内容は・・・

今日、正太郎の下足箱の中にチョコと『電話くださいね。From岡本』と書いた手紙が入っていた。
そして、きわめて自分に都合の良い解釈をした正太郎は、意中の岡本さんに「おー、サンキュー、岡本」と唇をとがらせながら電話したら、
「何のこと?」と相手にしてもらえなかった。
ということだった。

 

私には、その時点でゲリラ大原の犯行だとは察しがついたが、ある大学から不合格通知が届いて頭にきていたこともあり、
「頭のいい、E組の岡本るみさんではないか?」
と適当なことを進言した。
あの真面目な岡本さんがこの受験の時期にチョコなど渡すなど考えられないことなのだが。

勘違い男の正太郎は頭のいい岡本るみさんに電話をかけ、また間違いだと発覚する。

同学年に岡本さんはもう一人いるのだが、その子はかなりの巨漢でチョコをもらってもあまり喜べる相手ではなかったこともあり、正太郎の捜索活動もここで終わったようだ。

 

当然のことながら正太郎は大学受験に失敗し浪人した。


そして、正太郎の話はここで終わるかと思われたが、会社に入って、正太郎と同じ大学に行っていた同期の奴に
「○○正太郎って知ってるか?」
と聞いたら、
「知ってる!あいつ、変人で有名な奴だった。」
大学でも有名人だったらしい。

さすがに同じ高校だったとは言い出せなかった。

 

30歳を過ぎたころ同窓会で正太郎に会ったが、ハゲて髪が無くなっていた。