20年以上前のこと。
朝10時ごろ腹が減ったので、国道沿いの吉野家に入った。
店内の客は私しかいなくて、牛丼大盛りを注文して食べていた。
このころの吉野家のメニューは牛丼か牛皿、サラダ、お新香くらいで、今のようにカレーや焼肉丼のような他のものは無かった。その代わり注文すると30秒くらいで出てきた。
しばらくして、ひとりのおっさんが店内に入ってきた。
60歳前後で、一見ホームレス風にも見える。
以下はそのおっさんと店員との会話。
男 :「熱燗」
店員:「え?」
私も一瞬箸が止まる。
男 :「熱燗1本」
店員:「冷酒ならございますが」
男 :「じゃあ冷酒1本」
店員: それだけ?みたいな感じを残しつつ
「ご注文は以上でしょうか?」
男 :「うん」
吉野家に行って、酒だけ飲んで帰ってくるのは、かなり勇気がいると思う。