20年くらい前の話である。
その頃は本社勤務で、同じ部署に女の子が3人かいた。
3人は入社順に長女、次女、三女と命名された。
長女は、作られた笑いではなく、自然発生的な笑いを求めて仕事をしていた。
勘が鋭く、笑いの種を見逃さない目を持っていた。
私が何かやらかすと見逃さない。
ある日、私の靴下のかかとに穴が開いていると、すかさず
「穴が開いてますよ」
と言ってきた。
私もそのままでは、言われっ放しでバツが悪いので、穴から見える皮膚をマジックで黒く塗り、靴下の黒とカモフラージュさせて、
「補修したで。これでどぉ?」
と反撃する。
「そういう対処法でくるとは思わなかった」
と爆笑してもらった。
この長女がクルマを運転していて、見かけると必ず可笑しくなる瞬間があるという。
それは、トレーラーの先端のトラックが、何も牽引しないで、走行しているのを見たときである。
急ブレーキを踏んだら、「コテッ」といって転びそう。
特に下り坂だとなお一層、「バタッ」となりそう。
ということから、無性におかしいらしい。
言われてみると、トレーラーの先っぽのトラックだけで走っているのを見ると不思議と何かを期待して、可笑しいような気がしてくる。