私の勤務していた会社は、創業者は会長でその息子が社長、社長の奥さんが取締役、社長の息子が執行役員といった同族経営の企業であった。
過去に社長に意見した役員は、突然関係会社に飛ばされたり、不可思議な人事異動により姿を消していくというどこかの国のような体制であった。
15年くらい前に経営陣の中で揉め事が発生し、社長支持派と専務支持派に分かれ、マスコミにも取り上げられるほどの事件になった。
その後、取引銀行等の仲裁か圧力かは分からないが、社長は退陣に追い込まれ、創業家一族は当社から姿を消した。
それまで支店内の応接室に、会長と社長を写した写真が飾られていた。
数日後、本社から
「会長と社長を写した写真はすぐに撤去するように」
との指示があった。
これは、まさにチャウシェスクやフセイン政権が打倒され、彼らの銅像を撤去するルーマニア、イラクと同じ状況ではないか。
それが私の会社でも起こっている。
会社の緊迫した状況とは裏腹に私には妙に感じるものがあった。
その後、支援企業という平和維持軍がわが社を統治している。