このまえ東京に出張していて、羽田空港に着いたときに思い出した。
会社で同期のYの話。
Yは、どんな話でも真に受けるタイプの人間で、からかいやすく面白い男である。
2001年か2002年ごろ、Yは東京に出張していた。
帰りの羽田空港から福岡行きの便に乗ろうとしていたのだが、どういうわけか飛行機が遅延しており、出発ロビーは多くの人でごったがえしていた。
Yは福岡の事務所に電話をかけた。
Y:「何か知らんが飛行機が遅れてるので、帰るのが遅れる。」
無責任な後輩:「テロでもあったんですかねぇ」
Y:「テ、テロがあったって!?」(大きい声で)
その瞬間、周りにいた見知らぬ人たちが一斉に
「テロ!?」
「テロがあったらしい」
「テロで飛行機が遅れている」
などと口にしはじめ、テロというワードがどんどん広まっていった。
2001年の同時多発テロの後だったこともあり、テロに敏感になっていた時期であった。
Yは自分の発した言葉による周囲の混乱ぶりに大いにうろたえ、その場から逃げ去ったらしい。