高校のとき、M先生という英語の先生(男)がいた。
定年間近の老教師だが、勢いだけはあった。
噂によれば、慶応BOYということだ。
M先生は私の友人Sの近所に自宅があり、
Sは小学生の頃、M先生の家の前の竹を切り倒し、しこたま怒られ、英語の授業でも怒られていた。
M先生は、バリバリの岡山弁で授業を進める。
他県の人では理解できないであろう和訳をする。
ある日、ものすごい勢いで、教壇中央に仁王立ちで、
「ここのところはぜひとも覚えておいてもらいたい!」
とつばを飛ばしながら叫んでいた。
ところが、先生のズボンのチャックが全開である。
大声で喚くものだから生徒は先生に注目し、さらに下半身を目撃し、みんなニヤニヤしている。
先生は生徒の異常を感じ取り、自分の過ちに気が付く。
「まぁこういうこともありますわ」
と言ってチャックを引き上げる。
というようなことが3回くらいあった。
さて昨日のことなのだが、会社に行く時にバスの座席に座ると自分もチャックが全開ではないか。
家から駅まで歩いて12分、バスを待つこと10分、チャック全開が目立っていたのかどうかはわからないが、我が身にも起こった。
そして、午後、トイレでウンチをしたあと、席に戻る途中で、またチャック全開なのを発見。
こちらは誰にも気づかれることはなかったが、老いを感じた瞬間であった。