我が家のすべらない話【すべて実話】

身の回りで起こった面白い話を毎日12時30分に更新していましたが、ネタが尽きてきたので2023年7月23日より更新頻度を減らします。

ええカッコしいから本音を聞き出す究極の一言(174)

中学3年の時の話。
同じクラスにN山という野球部の男がいた。
長渕剛に似ていているのだが、性格が悪く、男たちからは嫌われていた。
ただ本人はそれに気が付いていないので始末が悪い。

 

例を挙げると、クラスメイトの体の特徴を揶揄したり、自分の舎弟を使ってイジメまがいのことをしたりしていた。
そのくせ、先生の前ではいい子ぶっていた。

 

私もN山の被害に遭ってはいたが、口の悪さでは負けてないので、よく反撃していた。

そんなN山に恋心を寄せる別のクラスの女の子(M浦さん)が現れた。
どういうわけで広まったのかわからないが、M浦さんがN山のことを好きということは、クラスのみんなが知るところとなった。

 

N山にその話題を持ちかけると、
「うるせー、黙れ!」
常に硬派ぶった態度をしていた。

 

そしてバレンタインデーの季節になった。
この頃になると、毎年突然、色めき立つ男子が現れる。
急に髪型が変わったり、香水を付けてきたりするのである。
模擬テストで1335人中、1330番台というT中までも、何かを振りかけて臭くなっていた。

 

バレンタインデーの日、私の席の前がN山であった。
休み時間にM浦さんが彼女の友達と一緒にN山の席にやってきた。
M浦さんがみんなの目の前でN山にチョコを渡そうとすると、N山は、

 

「いらん。いらんって言うのがわからんのか」

 

と大声でわめいていた。

押し問答がしばらく続いて、結局は受け取ることになったようだ。
M浦さんが去った後も、取り巻きの舎弟の前で、
「あいつ、いらん言うとるのに」
とぶつぶつ言っていた。

 

そこで後ろの席にいた私が一言、

 

「いらんのなら捨ててやろうか」

 

とゴミ箱を指し示すと、N山は真顔になって、


「ええわ」

 

本当はうれしかったようだ。

 

私の後ろの席で一部始終を聞いていた友達に、
「あの一言は絶妙じゃった」と賛辞を頂いた。

 

そして、バカのT中を相手にする女生徒は皆無であった。