我が家のすべらない話【すべて実話】

身の回りで起こった面白い話を毎日12時30分に更新していましたが、ネタが尽きてきたので2023年7月23日より更新頻度を減らします。

「支店長を出せ」→回答に窮する理由は(193)

 福岡勤務だったころ、同じビルにグループ企業の建設会社が入居していた。
そこの社員は若い人たちの中にはまともな人もいるのだが、50代の社員はクセ者ぞろいで、たびたびトラブルを起こしていた。

 

中でも一番のクセ者はウエダさんであり、電話応対もむちゃくちゃで、給湯室の共用のタオルで顔を拭くとか、どこにでも歯ブラシを放置したりと、女子社員たちを震えあがらせていた。

 

ある年末の仕事納めの日に一本の苦情電話があった。
「支店長を出せ」
電話応対したイチカワさんは回答に窮するも、なんとか支店長に繋がずに防いだらしい。

あとでイチカワさんに聞いた話は次の通り。

電話をしてきた人が、交差点で信号待ちで停車していたら、前の車の運転手がタバコを投げ捨てた。
車を降りて、その男(ウエダさん)を注意すると、ヘラヘラしていて、まったく反省の色が見られない。

ウエダさんが運転していた車は、会社の車で「〇〇建設」と書いてあり、
そこの福岡支店に「お前んとこの会社はどうなっているのか、支店長を出せ」
ということらしい。

ところが「ウエダさん=支店長」という絶望的な状況のため、回答できなかった。

 

「『ポイ捨てしたその人が支店長です』って言えるわけねえじゃろ」

 

イチカワさんが嘆いていた。

 

電話を掛けてきた人は、その後本社にも電話したらしく、年が明けて、懲罰動議が発せられ、ウエダさんは担当部長に降格し、電話応対したイチカワさんが支店長になった。

 

その後、ウエダさんは定年退職し、イチカワさんは取締役になっている。